余韻が残る映画だった。
物語が言わんとしていることをもっと汲み取りたくなる映画だった。
歴史問題に疎い私の感想はあまりにも言葉足らずで恐縮なのだが、やはり初めに観たときよりも二回目に観たときの方が感情移入できる映画だった。
台湾映画『海角七号~君想う、国境の南~』
前回、台湾に滞在したときに台湾人との会話の中で何度も出てきたタイトル。その時は、そんな映画があるのか~くらいにしか思ってなかったが、ふとタイトルを思い出し、レンタルするに至る。
縁のあるものは人でも物でも、また出会うようになっているから不思議。
さて、この話の内容はと言うと、
台湾の南にある恒春が舞台。歌手になる夢破れて郵便局員になった阿嘉(ファン・イーチェン)の元にある日『海角七号』という、宛先不明の荷物が届く。海角七号というのは、昔の地名。思わず中身を開けてみると、そこには、ある日本人が手紙にしたためた“想い”が詰まっていた。
日本統治下で、終わった恋。60年もの歳月を経て発見されたラブレターを軸に現代の台湾で一つの恋が始まっていく。。。
魏監督が『時空を超えた愛情、時間が醸成してくれる愛がどれほど永遠のものかということを表現したかった』と語っているように“時が流れても忘れられない人”を強く想う、七つのラブレター。
このラブレターが朗読されながら物語は進んでいくんだけど、一つ一つの言葉がホント切ない。戦争がなければ出会うことも別れることもなかったんだろうけど、、、時代に翻弄された人々の心情を思うと何とも言えない気持ちになる。
“君を手放したのではなく、泣く泣く手放したということを”
日本が台湾を“泣く泣く手放した”ともとれるラブレターの一文。
全体的に日本に対するイメージが美化されてる?らしく、中国では発禁処分となったらしい。
日本人視点から言うとあまりわからないけど、中国人が観るとそんなふうに感じるのかなぁ~
物語は音楽祭を中心に盛り上がりをみせ、
とにもかくにもラストの
日本と台湾をつなぐ『野ばら』の歌声には感動必至。
恥ずかしい話だけど、台湾統治時代の唱歌が『野ばら』とは知らなかったけどね…
“海はどうして希望と絶望の両端にあるんだ”
。。。という、手紙の持ち主にとっては、絶望の象徴でしかなかった海がラストでは希望や再生の象徴として美しく輝いていたのも印象的だったなぁ。
ヒロインの田中千絵(全然知らなかったけど、トニータナカさんの娘さん。アジアを中心に活躍中)演じる“友子”の名前って『友好』の響きからきているのかな?
そんな名前に込められた『日台友好』を私も切に願う。
日本が見捨てたとされる台湾に、実は日本を想ってくれる人たちがたくさんいること。
色々な問題はあれど、人と人はもっと近づけるし思いを共有することもできる。
私たち日本人は台湾のことを決して忘れてはいけない。
台湾から日本へ向けたラブレターともとれる映画を観てそう思った。